たみこさんの部屋

〜 卒園式 〜

2019年 3月

まつ組の子ども達が卒園していきました。

前日まで熱を出していた子も、来れました! さ〜、みんなの卒園の時です。

卒園児の顔になって、そろそろいくよ〜
と話しかけていると、1人、まだ来ていない!
担任が連絡すると、あろうことか、ママが「なんだか、行きたくないと言って動かないんです」と…。

説得して、連れて来てくださいね。」と話して待つが…心配だ。…来ない。

私は電話に走った。「よし!私が言ってやる!

ママが出て「イヤだと言って動かないんですよね」と困り声。
ママは出席するつもりで準備を済ませているらしい。よし!と私はAくんに電話を代わってもらった。

A! 卒業式だよ!あなたが来ないでどうするの!?
 今までいっぱい遊んできたよね。発表会も楽しかったね。
A、よく頑張ってたし。
 今日、みんなで幼稚園を卒園するんだ。来て!

…沈黙。

A!、私はAのいない卒園式はできないよ! もし来ないと言っているなら、たみこんさん今すぐむかえにいく! そこで待ってなさい! 今…行く!

…沈黙と、動揺が伝わる。

A!、Aのいない卒園式はできないよ! すぐにおいで!

…「は、ハイ」(ふるえる小さな声 たみこさんコワイ…)

よし! 待ってるからね。たみこさんもみんなもAが来るの、待ってるからね!

精一杯。電話で久しぶりにどなりあげた私。
電話の向こうで震えているであろうA
でも、来て欲しい。

 

2階のベランダからみんなで身を乗り出して、門の方を見る。
とうとう道路まで出て迎えに行く職員。

 

来る! 必ず来る!

 

そして、

 

ママが自転車を走らせて来た!
これで、全員揃っての卒業式だ!

 

Aも立派に卒園証書をもらった。

渡しながら、「よく来たねA! えらかったよ。」と声をかける。

ア〜アよかった。 みんな揃っての卒園式。

そしてお祝いの会。
最後に卒園児達のうたで終わるはずだ。

みんなで歌う、最後の歌だ。

職員もママも、思いを込めて耳を傾ける最高の歌。
Aは元気に舞台の前の方にスックと立ち、歌っている。

私はAを見る。  Aはちょっと目をそらす。
私はAを見る。  Aは目をそらす。

その繰り返しだ。

Aのお母さんは、今、体調を崩している。
病院に行ったりすることも多く、パパや兄弟と留守番をしていることも多い。いろいろな思いを抱えているにちがいない。

私は、Aをみていた。
よく頑張っているよね。私たちはずっと応援しているからね。との思いを込めて、なんどもAを見ていた。
ママもきっと、元気になるよ!!

すると…目をそらし続けていたAが、しっかりと私の目を見て来た。うれしかった。

うれしかった。歌っているAの心と私の心ゆたかな、やわらかな水流のように通いあうのを感じた。もうAは目をそらさない。
私をしっかり見つめながら、歌い続けていた。

 

卒園児のみんなの歌声がまだ耳に響いている。
おめでとう! ずっと応援しているよ!

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