〜 幼稚園の入り方 〜
2019年 6月
先日、27歳になる卒園児が会いに来てくれました。
いやいや、大きくなりました。
この子は、そう二十何年か前、年長さんか年中さんかで、駅のむこ〜うの公園に散歩に行った時のこと。その公園で、おなかの大きなお母さんと、元気の良い2歳くらいの男の子が遊んでいました。
その男の子は散歩に来たお兄さん、お姉さんたちを見ると本当に嬉しそうに寄って来て、いちいち遊びについて回ります。
目を輝かせて「友達がいる! ボク友達が好き。 いっしょにいるのが好きなんだ!」と全身で叫んでいるようでした。お母さん、おなかも大きいし、あちこち連れて回るのもきついだろうし、この子はこんなにも友達を求めていたのね。子どもって、ほんと子どもどうしだよねえ〜、と改めて思いを深めました。
さて、おなかがすくまで遊んだ幼稚園の子はそろそろ帰る時間となりました。
その子はまだ遊んでいるのかな、と見ていると、人数を数えている子どものすぐそばにいて、ニコニコと笑っています。
「じゃあね! また会えるといいねぇ〜。 バイバイ!」と手を振って、園児達は幼稚園へ歩きだしました。
ところが…。
見るとその子もちいさな身体と短い足で、トコトコ トコトコ ついてくるではありませんか。
お母さんも必死の顔で、大きなおなかをかかえて、そのあとを追います。
アラアラ、どうしよう…。
とうとう幼稚園までず〜っとついてきてしまいました。
なかなかどうして、長距離です。子どもの足だと20分くらいはあるはず。決してめげることなくトコトコ トコトコ…。
お母さんのおなかも心配だし、困ったけれど、その子のことを止めることは誰もできませんでした。一生懸命にトコトコ トコトコ走ってついてくる、その子。そして大きなおなかでその子を必死で追いかけるお母さん。
いまでもその時の様子が目に浮かびます。
かわいかったなぁ〜。
お母さんも大変だろうなぁ〜、と。
そして、次の年の春、その子はめでたく入園しました。
おなかにいた、その子の妹も、その後入園しました。
そうだ。幼稚園って、こうやって入園するところなんだ! とわかったのです。
幼稚園、訪ねてきてくれて、ありがとう!
あのときの姿を思い出すたびに、笑える私たち。
正しい幼稚園の入り方、でした。