たみこさんの部屋

〜 里 見 〜

2017年 5月

6年前の震災、原発事故の前は、里見公園を第2の園庭としてよく出かけていました。
京成小岩まで歩いて電車に乗り、国府台(こうのだい)で降りて、キラキラ光る大きな川を見ながら土手をずっとずっと歩いたところに、里見公園はあります。

公園の中には太い木の枝や茎や根に覆われた、茶色くツヤツヤと光る、山があるのです。
それこそが「チョコレート山」
西小岩幼稚園の子は、そこのてっぺんに登れるようになるのです。
ツルツルすべる、その時木の根っこをぐっとつかむこと、のびる枝にすがること、それでもずるずると滑り落ちる。
何度もなんども挑戦して、顔も手足も靴も服も、泥だらけ。
見上げればチョコレート山のてっぺんでは「がんばれ〜!もう少しだぁ〜!」とやっぱり泥だらけの仲間や先生が声をからして応援している。
チョコレート山制覇は、西小岩幼稚園の子には大切な大切な、課題でした。

チョコレート山ばかりではありません。
もっと奥へ進めば水場があり、「がらがらどんの橋」や、石垣があります。
その水場は、行くたびに1人や2人は落ちます。

どの子もキラキラした笑顔がまぶしくって…。
「里見」…「さとみ!」
と西小岩幼稚園ではいろんな思いを込めて、よばれている公園です。

その公園の日の当たるバラ園には、6年前には放射線量の表示がありました。
大丈夫なんだね」と言い合っていたのです。が…しかし、奥のうっそうとしたチョコレート山近くは、測定していないのか、公表していないのか…高かったのです。

それから6年、何度か測りに行きました。
そして、線量の出ないことを確認しての、今年の「さとみ」です。

私はその日、父母総会の日だったのですぐに帰ってきてしまったのですが、どうしても「さとみ」に行きたかった。

まつの子ども達は靴にビニール袋をはいて、あちこち泥だらけになって、アハアハ笑っていました。

「たのし〜い!」

あっちからも、こっちからも大きな笑い声がきこえて、私はその子ども達のいる「さとみ」に立ち、その風にふかれ、その空気のなか、泣きました。

いろんな、いろんな思いの涙です。

ふくしま」の子どもたちのことも、忘れてはいない。

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