たみこさんの部屋

〜 鬼がきた! 〜

2022年 2月

毎年、私達職員が(!?)楽しみにしている節分。

今年もキャアキャア泣いて、しがみつきあっての鬼からの逃走は、、むりだよね、きっと。とあきらめました。

大人が見ても怖い、ワラを腰に巻き、ドシドシとやってくる鬼…。

担任からの推センを受けて鬼にさし出される子もいたりして、「おこりん坊はいないか〜」「いばりん坊はいないか〜」

怖い

「畏敬」ともいうべきなにかが子どもの心にどんな風に残るのかしら。(とかなんとか、ちょっと深イイ話もしつつも、職員達はこわがる子どもを楽しんでいるのです。)

でも、今年はきっぱり鬼はこないと会議で決まったのに、
あきらめきれないマチャトが、へたこわい、黒々とした鬼文字、鬼印つきの手紙を職員室前に貼り出した。

ようちえんのみんなへ 2がつ3か おこりんぼう いばりんぼう いじわるっこ おれはみてるぞ おにより

朝、私が職員室にいると、うれしそうな職員に連れられてオズオズへやに入ってきた男の子。

たみこさん、オニが、オニが…。

えっ? くるって? よし、私が鬼をやっつけてやるよ!
大丈夫! ゲンコツ玉をおみまいするからね!

すこしホッとした表情で戻って行って、しばらくすると、

たみこさん たなのところにサァー、手紙が置いてあった
(個別に鬼からの手紙をもらった子がいるらしい)

なんて書いてあったの?

あのねぇ〜 くってやる〜

え!たべられちゃうの? どうしよう?
よし、たみこさんが守ってあげる。鬼にたべられちゃうのは困る!

なんだかみんながよってくる。好かれてるのか…? 私。

いや。

これはまわりを見回して、少しでも鬼と戦えそうな人をみつけようとしているにちがいない。ちょっと複雑な気持ちだ。

などとぐずぐず思っていると、紙コップに水を入れてソロソロと運ぶ子がいる。なにをしているのかというと、「鬼は水を酒と思ってのむ。そして、酔っ払ってしまって帰る」ついては、「豆」をその中に入れた方がいいのだが豆がない…。

きいていたマチャトが近くのスーパーに即、走る。
やっぱり鬼退治には豆が必要だ。

考えたら、鬼の手紙だけで、ここまでこわがり、退治する方法を相談して盛り上がるとは想定していなかった。大人たちはおどろくやら面白がるやら、大笑いだ。

急きょ、みんなに豆(小袋入り)を配り、にぎりしめていれば大丈夫だからと説得し、「おこりんぼや、いばりんぼ」の自覚、心あたりのある子も手に汗をかくほど豆の袋をにぎりしめつつ、鬼の気配にビビりまくる。

年長の男の子が「ねえ、きみちゃん、トイレ行くからちょっといっしょに行ってくんない?」と言ってきたのには、みんなで笑った。

ほんとうに、なんてかわいいんだろう。ウチの子たちって。

コロナでキリキリしがちなこの時に、みんなでマスクの下は大笑いだ。
いまでも節分の1人1人の子どもの姿に笑いっぱなしの、子どもが帰った後の職員室。幸せだ。

 

ところで、
「たみこさん、たみこさん」
と、いつになく私のそばに寄ってきた子たちは、
鬼と私、どっちが怖いんだろう…。

気にはなる。

過去のたみこさんのへや

4月5月6月7月9月10月11月12月1月2月

過去のたみこさんの部屋 アーカイブ