〜 ピンクのハンカチ 〜
2018年 10月
この頃は、ハンカチってあまり使わないと思いませんか?
先日発刊の藤田ひろ子著「ハンカチあそび」の本をみんなで見ました。
ところが「やってみようよ…」とポケットから出すのは、そろいもそろって、いわゆる「ハンドタオル」
これではハンカチでうさぎをつくったり、バラの花をつくったりするのはむずかしい。
ハンカチってどこへいってしまったんだろうか?
昔、保育園で2歳児を担当していたとき、どうしたことか、お母さんが2歳の子どもをおいて出て行ってしまった、という子がいました。
お父さんは仕方なくおばあちゃんのいる実家にその子を連れて戻り、おとうさんが仕事している間、ばあちゃんが育児をしていましたが…。ふっとんで走り回るその子に体調を崩され、区役所に相談し、保育園に通うことになりました。今から考えれば、そりゃぁそうだろうと思いますが、座ってごはんを食べたり、本読みなどはもってのほか、遊びたくて遊びたくて友だちの使っているおもちゃをひったくって走り回るという毎日。
若き私は(トホホの未熟モノの…)おばあちゃんに「ホント困ります。どうしたもんでしょう?」と言いに行ったりしました。
「どうしたもんでしょうか」って言われてもねえ…、と私よりずっと困っているおばあちゃんの顔をいまでも覚えています。
(ゴメンねばあちゃん。ほんとに悪かったね…涙)
でもその子はあそんで、あそんで、少しずつみんなと保育園で過ごすことを楽しむようになりました。
散歩にもよく行きました。
(みんな散歩が大好きで
「気持ちが解放される 外っていいよねえ」
これは保育者たちもうれしく言い合っていたことです)
門の前に並ぶ2歳児さん、散歩に行く気マンマン。
ところがその子と手をつなぐ子がいないのです。手を出してつなぐ子を探しまわるその子の必死な顔。
見逃さない私は、ある日そのことについて、2歳児クラスで話し合いをしました。
保「どうして、Oくんと手をつないであげないの? Oくん、つなぎたいよ?」
子「・・・・・(シーン)」
保「みんなで大好きなお散歩いけないと悲しいよ。Oくんと手つなごうよ。Oくん、手つなぎたいよね?」
Oくん「ウン(深くうなずく)」
・・・・
子A「…Oくん、手…ぬれてる」
子B「…ハ・ナ・ミ・ズ」
保「・・・・そ、そうか! Oくんの手、はなみずでペタペタだから、いやだったのか?」
どうしたらいいかの話し合いは続いた。そして、Oくんは肩から斜めにゴムでハンカチをぶら下げることにした。
(おばあちゃんがうれしく作ってくれた)
そして、散歩に行くよ〜と声をかけてならぶとき、Oくんがそのぶら下げたハンカチで必死にハナをふき、手をふいている姿がそこにありました。(涙)
それを見て、にっこり手を差し出す友だち。私にとってのハンカチは、あのOくんのハンカチがすべてだなぁ〜
ところで私、いろんな物をすぐなくす。
この節、家にいる時間のほとんどが探し物だ。
それなのに、50年以上前の、ピンクのハンカチはなくさない。
というか、何十年もみなかったのに、ひょいとどこからか出てくる。
ふしぎっていえば、すご〜くふしぎだ。
先日も何十年ぶりにでてきた。
若い頃、大きなピンクのハンカチをエコバックがわりで物を包んだり、もちろん、失恋して大泣きして涙でそのハンカチをびしょびしょにしたり。
古くさいったらありやしない模様(昭和そのもの)でも、失くさない。どこからか、必ず出てくるこのハンカチ。
私ももう少し年をとったら、西小岩幼稚園の園庭で手をつないでくれる子どもを探しているかもしれない。
ピンクのハンカチをぶら下げながら。
その時は、手をつないでね。