〜 本を踏んではいけない 〜
2019年 4月
孫が(私の)、読み終わった本に乗っているのを見た。
「本を踏むんじゃない!」
思わずどなりとばした私。
小さいころ、新聞の上や本の上にのったり、踏んだりしたら、やっぱりとても怒られた…。
なぜだ…私のなかでは「一生懸命人が考えた言葉で作った新聞や本は大切にしないといけない! 踏んではいけないもの」と理解していたから、園児や子や孫が踏んだりしていると、考えるより先に「いけない!」と声が出てしまう。
ゲーテは言った
(え?ゲーテだっけ?)
人は何を笑うかでその人がわかる…と。
(人が何で起こるかでもわかるってことか)
編集者注:ニーチェ、では?
私は人を傷つけたりすること、障がいを差別したりすること、なにより命をそまつにすることはがまんができない…かな?
昔保育室で、亀が穏やかに泳いでいる水そうに向かって、硬い粘土をバンバン投げている子を見かけて、思わずしらず、どなりとばしました。
「だれだ〜! 亀さんが痛いだろうが〜!」
あまりの勢いに画面蒼白になった子ども。
我に返った私は「こんなに怒られたことってたぶんなかったろうなあ」と。
虫を捕まえて解体していたり、アリを踏んづけたりしている子を黙って見ていられないかなぁ私。
でも、子どもってそういうことをいっぱいして大きくなります。生命をそういうことで感じて育つんじゃないかなという保育者もいる。そんな話し合いをどんなに重ねたことだろう…。
今日も、ことばのやりとりの難しいKが、子ども用のふとんを出してきて、事務室にひろげ始めるそして上ばきのままふとんにのる…。
「アッ。靴のままはイヤだなぁ」と言ってしまう。
すると…Kが(聞いていないはずが)サッと靴をぬいだ。
そこに一緒にいた事務の香ちゃんと、「アッ!ぬいだ!」とびっくりした。
「わかるんだねえ。靴のままふとんにあがってほしくないって言ってることが…。」
ことばじゃない、人と人とのわかり合いだよなぁ〜
なにより、人の心を踏みつけることのないように、
人が人として大切にされる世の中になるように。
「本を踏んではいけない!」